グリセリンは多くの化粧品に配合されている代表的な保湿成分です。
しかし、昨今のSNSやブログ記事などを読んでいると「グリセリンでニキビができる」「グリセリンがニキビを悪化させる」などの投稿が多く見られるようになりました。「グリセリンフリー」を謳う化粧品もよく見られるようになっています。
実際のところ、グリセリンは肌に悪い成分なのでしょうか。
結論から言うと、グリセリンは必ずしも悪というわけではありません。ただし、使い方を間違えると肌悩みを悪化させることにつながります。
肌質に応じてグリセリンフリー化粧品が適している人もいれば、そうでない人もいます。
この記事では、そもそもグリセリンにはどんな効果があるのかを解説するとともに、グリセリンフリー化粧品のメリットやデメリットについて記載します。
そもそもグリセリンとは
グリセリンは、ヤシ油やパーム油、牛脂などの天然油脂を高温・高圧で加水分解すると得られる成分です。化粧品だけでなく医薬品や、食品など幅広く使われています。医療の世界では浣腸剤や下剤などに使われ、食品では甘味剤として用いられることが多いです。
スキンケア化粧品においては、水分の蒸散を抑えながら外の水分を引き寄せる働きがあります。
このことから、さまざまなスキンケア化粧品に「保湿剤」として配合されています。
化粧品メーカー社員の観点からいうと、グリセリンは安全で優秀な保湿成分です。
適切に保湿することは、古い角質が肌全体にポツポツと詰まる面皰の形成を防ぐので、ニキビができやすい肌質の方たちのスキンケアにも欠かせないといっても過言ではありません。
実際、厚生労働省の承認を得ており、ニキビの治療薬として皮膚科でも処方される「ベピオゲル」にも少量のグリセリンが配合されています。
また、グリセリンは、自然界において脂肪酸とのエステルである「グリセリド」として人間を含む動植物の油脂中に広く存在しているのです。 つまり、適度な量のグリセリンは肌を保湿するうえで有効であり、ニキビの大きな原因になるとは考えにくいと言えます。
なぜ、グリセリンは悪と言われているのか
では、なぜグリセリンは悪と言われているのでしょうか。
それは、ある化粧品メーカーがいくつかの保湿成分を調べた結果、グリセリンがニキビの原因である「アクネ菌」の餌となる性質がもっともあると公表し、話題となったことによります。
また、それが話題になったことで、グリセリンフリー化粧品が流通しはじめ、それを使用してニキビ肌が改善されたというような化粧品レビューが書かれるようになったことも大きな要因でしょう。
しかしながら、これはあくまで十数種類の保湿剤の中では、アクネ菌がもっともグリセリンを餌としただけにすぎません。
アクネ菌がグリセリンを餌としてもおかしくはないかもしれませんが、それよりも油脂等をより好むと言われています。
したがって、グリセリンより油脂類の配合がない化粧品を選ぶ方がアクネ菌対策としては、より効果的といえます。
ただ、レビューとして、グリセリンフリーのスキンケア製品を使用することで改善された例があるのは確かです。これは肌の性質によって異なると考えています。
そこで、肌のタイプ別にグリセリンフリーのスキンケアを選ぶべきか否かを解説します。
肌のタイプ別オススメ
●乾燥肌・混合肌の人
あえてグリセリンフリーの化粧品を選ぶことはおすすめしません。それは、肌をしっかりと保湿する必要があるためです。もし、グリセリンフリーの化粧品を試したみたい場合は、他の保湿成分がきちんと配合されているか確認してください。
●敏感肌の人
乾燥肌の人と同様に、あえてグリセリンフリーの化粧品を選択することはお勧めしません。敏感肌の人は、肌のバリア機能が低下している状態です。肌が刺激を感じやすい状態であるため、刺激の少ない成分で構成されている化粧品を選択することが大切です。グリセリンは保湿成分の中でも刺激がほとんどないことが報告されています。また、バリア機能が低下しているということは、肌の水分が逃げやすい状態ですので、肌の水分を維持するグリセリンを避けるのは適切ではないといえます。
●脂性肌の人
グリセリンフリーのスキンケア製品を試す価値はあると思います。
しかし、脂性肌の人の中には、過剰な皮脂分泌が原因ではなく、乾燥やターンオーバーの乱れが原因ということもありますその場合は、肌をしっかりと保湿することが重要であるため、グリセリンフリーの化粧品を選択する場合は他の保湿成分がしっかりと配合されているか確認しましょう。
上記のように、基本的には脂性肌の人やニキビに悩んで何をしても解決しないという人は試してみる価値はあると思います。
しかし、どの肌タイプの人にも保湿も大切な要素なのは間違いありません。
そこで、化粧品のパッケージに記載されている全成分表の上位にグリセリンがきていない化粧品を使用することをお勧めします。
化粧品の全成分表は、1%以上の配合がある成分については、配合量の多い順に記載しなければならないというルールがあります。 つまり、全成分表の2~3番目にグリセリンの表示がある製品は、配合量が多いと言えるのです。
保湿が足りなくてもニキビの原因になりうるので、グリセリン配合量が「0」にこだわりすぎない方が良いかもしれません。
まとめ
グリセリンは多くの化粧品に配合され、その保湿効果は広く認知されています。
一方で、グリセリンがニキビの原因菌であるアクネ菌の餌となる性質が示唆されているほか、グリセリンフリーでニキビ肌が改善された例もあります。
グリセリンを減らしつつ、保湿も維持できればニキビ肌が改善される可能性はあると考えます。
スキンケアを選ぶ際の参考にしてみてください。
最後に「グリセリンフリー」にチャレンジしてみたい人にオススメ製品を1点だけ紹介しておきます。
容器をシンプルにしてメール便対応にしていることから、余計なコストをかけずに中身にお金をかけていると言えます。
全成分表の2番目にペンチレングリコールがあります。この成分も水分を引き付ける成分ではあるので保湿力も十分あるといえます。また、そのほかにもセラミド類やアミノ酸類も配合されていますので、一度「グリセリンフリー」を試してみてはいかがでしょうか。